『氷川清話』は吉本襄氏が海舟の談話を収集して編集したものになります。海舟とも直接面会し話を聞いた様ですが、『続々氷川清話』の出版をする際は海舟に断られています(『海舟座談』による)。また『氷川清話』には歪曲された部分が多く見られるようで、江藤淳氏、松浦玲氏による『氷川清話(講談社学術文庫)』では吉本氏の編集をリライトと呼び問題視しています。特に松浦玲氏は厳しく糾弾していますが、「勝海舟の代表的な談話集として長い生命を保ちえたのは、リライトによって読みやすくなったことが大きく作用しているのだろう。」とも書いています。
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【「氷川清話」に関する投稿】
勝の西郷隆盛評 投稿日2024年9月29日
勝は『氷川清話』(講談社学術文庫)の中で西郷隆盛について次のように評しています。
「西郷に及ぶことの出来ないのは、その大胆識と大誠意とにあるのだ。おれの一言を信じて、たった一人で、江戸城に乗込む。おれ [...]
行蔵は我に存す 投稿日2022年7月3日
福沢諭吉は『瘦我慢の説』という書で、幕臣でありながら新政府に仕えた勝海舟を批判した上、この書の公表の了解を勝自身に求めています。
福沢はこの書で勝の功績を認めながらも
「権道(けんどう) [...]
勝海舟の不党のすゝめ 投稿日2021年5月18日
勝海舟は多数の弟子や学びを請う若者が多かったにも関わらず、党を作って時世を動かそうという行動をとっていません。
この事について『氷川清話』にはこのような海舟の言葉が載せられています。
人 [...]
不足不平は一概にわるくないヨ 投稿日2021年3月13日
海舟は「定見深睡」とゆう西洋の言葉をとり挙げて、定見に固執することを戒めています。
今日の是は、明日の非、明日の非は明後日の是といふ風に、一時も休まず進歩すべきものだ。
そ [...]
その身を世間の風浪に投ず 投稿日2021年2月23日
天下は、大活物だ。区々たる没学問や、小智識では、とても治めて行くことは出来ない。世間の風霜に打たれ、人生の酸味を嘗め、世態の妙を穿ち、人情の微を究めて、しかる後、共に経世の要務を断ずることが出来るのだ [...]
『氷川清話』と『海舟座談』 投稿日2021年2月11日
『氷川清話』(講談社学術文庫)は吉本襄(のぼる)が海舟に関する記事を収集し編集した『海舟先生氷川清話』を検証再編集した談話集。
『新訂海舟座談』(岩波文庫)は海舟宅に出入りしていた巌本善治が海舟から直 [...]
決して捨つべきものではない 投稿日2021年1月24日
山岡鉄舟は「人にはすべて能不能あり 一概に人を棄てあるいは笑うべからず」という言葉を残していますが、鉄舟にとって絶対に捨てられなかった人物とは、おそらく薩摩の益満休之助の事だと思われます。
  [...]
理屈ではわからない 投稿日2021年1月23日
およそ世間の事には、順潮と逆潮とがある。したがって気合も、人にかかって来る時と、自分にかかって来る時とがある。気合が人にかかったと見たら、すらりと横にかわすのだ。もし自分にかかって来たら、油断なくずん [...]
自由自在気随気儘だよ 投稿日2021年1月20日
およそ天下に乾児(こぶん)のないものは、恐らくこの勝安芳一人だらうよ。それだから、おれは、起きようが寝ようが、喋らうが、黙らうが、自由自在気随気儘だよ。
海舟は氷川清話(講談社学術文庫)でこのように [...]
断定するのは好まない 投稿日2021年1月12日
主義といひ、道といつて、必ずこれのみと断定するのは、おれは昔から好まない。
単に道といつても、道には大小薄濃淡の差がある。
しかるにその一を揚げて他を排斥するのは、おれの取らないところだ。
人が来て囂 [...]
冷静に柔軟な判断をするには 投稿日2019年9月23日
勝海舟は「氷川清話(講談社学術文庫)」でどんな時でも、どんな場面でも冷静な判断を行うための要点を次の通り語っています。
人は何事によらず、胸の中から忘れ切るということが出来ないで、始終それが気にかか [...]
無神経のすゝめ 投稿日2019年9月11日
無神経ほど強いものはない・・・(中略)
無闇に神経を使って、矢鱈に世間の事を苦に病み、朝から晩まで頼みもしないことに奔走して、それがために頭が禿げ鬚が白くなって・・・(中略)
おれなどはとても(そうは [...]
外交の極意は誠心誠意 投稿日2019年9月5日
「外交の極意は、誠心誠意にあるのだ。胡麻化しなどをやりかけると、かえって向こうから、こちらの弱点を見抜かれるものだヨ。」
と「氷川清話」で勝海舟は語っています。そして
「日米修好通商条約を結ぶ際は [...]
子供を教育するには・・・ 投稿日2019年8月31日
「子供を教育するには、よほど気を付けんといかん。
あまり学問々々といって居ると、口ばかり達者になってじきに親爺をやりこめるようになるよ。
(中略)
しかしそういう息子のある家の庫(くら)には遠からず蜘 [...]
海舟の虚心坦懐 投稿日2019年7月27日
「勝敗を急ぐと、頭に血が上り、鼓動も早くなる。そうなると対応が裏目に出て、逆に進退を危うくすることから逃れられなくなる。もし逃れられたとしても防御に立とうとする気が起こり、相手に乗じられてしまうものだ [...]
必ず何か一得はあるものだ。 投稿日2019年5月27日
人はどんなものでも決して捨つべきものではない。いかに役に立たぬといつても、必ず何か一得はあるものだ。おれはこれまで何十年間の経験によつて、この事のいよいよ間違ひないのを悟ったヨ。
勝海舟談話集「氷川 [...]
窮屈逼塞は天地の常道ではないヨ。 投稿日2019年4月2日
海舟は「氷川清話」に方針を固持してはいけないと書いています。
我に四角な箱を造って置いて、この箱に丸い物や三角の物を詰め込むのはご苦労千万な事だ。
執一の定見をもって天下を律せんとするのは、決して王道 [...]
「氷川清話」は幕末史の原典? 投稿日2019年3月17日
「氷川清話(講談社学術文庫)」を読み始めてすぐは、自分の幕末における知識が間違っていなかったことに安心していたのですが、読み進めるうちに今までに小説やテレビの歴史情報番組から得た自分の幕末史の知識の半 [...]
勝海舟の黒田長溥・評 投稿日2019年3月10日
勝海舟は福岡藩第11代藩主・黒田長溥について氷川清話(講談社学術文庫)で次の通り語っています。
「幕府時代の大諸侯にして、最も早く外国の事に注意したるは黒田長溥公であつた。」
黒田長溥の蘭癖は流行 [...]
寝転んで待つのが第一サ。 投稿日2019年2月24日
最近、勝海舟の談話集「氷川清話」(講談社学術文庫)を読んでいるのですが、その中で海舟は悪い立場に陥った際の対処方法を次のとおり語っています。
「上がった相場も下がるときがあるし、下がっ [...]