常に糸がねを心に持つべし、相手毎にいとを付けて見れば、強き所、弱き所、直(なお)き所、ゆがむ所、はる所、たわむ所、我心をかねにして、いとを引きあて見れば、人の心能(よ)く知る者也、其(その)かねにて圓(まる)きにも角なるにも長きをも短きをも、ゆがみたるをも直(じか)なるをも能く知るべき也、工夫すべし
常に相手を測る気持ちを持つべきである。相手ごとに糸矩(いとがね)をあてて見れば、強い所、弱い所、まっすぐな所、ゆがむ所、張る所、たわむ所、自身の心を矩(かね)にして、糸を引きあててみれば、人の心がよく知れるものである。その矩にて丸い所、角にも、長き所、短き所、ゆがむ所、まっすぐな所をよく知るべきである。工夫することだ。
宮本武蔵/兵法三十五箇条
糸がね・・・糸矩。地面との垂直を出すため大工道具だと思われます。ヒモに錘(おもり)を付けた測定器
矩・・・ものさし。例えば指矩(さしがね)は直角を出す大工道具