敵に成ると云事

我身敵にしておもうべし、或は一人取籠か又は大敵か、其(その)道達者なる者に會ふか、敵の心の難堪(なんたん)をおもひ取るべし、敵の心の迷うをば知らず、弱きをも強しとおもひ、道不達者なる者も達者と見なし、小敵も大敵と見ゆる敵は、利なきに利を取付くる事在り、敵に成て能く分別すべき事也
敵の立場になって考えるべきで、或いは少数なのか大敵なのか、その道に達者の者に合うか、敵の心の突かれたくない事を思いとることだ、敵の心の迷いを知らず、弱きを強しと思い込み、道不達者な者を達者と見なし、小敵を大敵と見る敵は、利益に反する判断をしてしまう事がある。敵の立場に立って、判断すべきである。
 

宮本武蔵/兵法三十五箇条

 


難堪・・・耐え難い事。我慢できない事