間を積(つも)る様、他には色々在れ共、兵法に居付(いつ)く心あるによって、今傳(つたわ)る處(ところ)心あるべからず、何(いづ)れの道なりとも其(その)事になれば能(よ)く知る物なり、大形(おおかた)は我太刀人にあたる程の時は、人の太刀も我にあたらんと思ふべし、人を討たんとすれば我身は忘るる物也、能能(よくよく)工夫あるべし
相手との間をとる方法は、他の流儀にも色々あるけれども、我が兵法にこだわる心によって、己の修得した事に固執するような事があってはならない、いずれの道でもその道の達人がいるものである。大方は自分の太刀が人にあたる程の時は、人の太刀も我にあたると思うべきで、人を討とうとする瞬間は、自身の身の危険は忘れてしまうものである。よくよく考えるべきである。
宮本武蔵/兵法三十五箇条
間を積る・・・間を計る
居付く・・・居座る。転じて固執すること、こだわること
大形・・・大方