萬理一空の所、書きあらはしがたく候へば、おのづから御工夫なさるべきものなり、
右三十五箇條は兵法の見立、心持に至るまで大概(たいがい)書(かき)記(きし)申候、若(もし)端々申残す處(ところ)も、皆前に似たる事どもなり、又一流に一身仕得候(つかまつりえそうろう)太刀筋のしなじな口傳(こうでん)等は、書付におよばず、猶(なお)御不審之處は口上(こうじょう)にて申あぐべき也、
『萬理一空』の事は文章では説明し難いので、自ら検討してみてください。
この『三十五箇條』は兵法の概要や心構えに至るまでを書き記したものであり。こまごましたところで書き残した部分もあるが、ここに書いたものと似たような事柄である。また一流について教える私の諸々の太刀筋や口伝は、書き付ける必要はありません。なおご不明な点は私に直接質問してください。
宮本武蔵/兵法三十五箇条
『萬理一空』とは「すべての道理は空に通ずる」という意味だと思われますが、「書きあらはしがたく候へば」と武蔵も書くように自分自身で試行錯誤する必要がありそうです。