人の誹はやむべからず

人、われを誹(そし)らば、誹るものを咎(とが)むべからず。わが身に省みて求むべし。わが身に、一分の過あり、人われを誹ること十分なりとも、わが誤りより起こりしことなれば、恨むべからず。わが過を責むべし。是(こ)れ、誹をやむる道なり。左(さも)もなくて、ただ、人を咎め、人を恨みて、我に求めざれば、人の誹はやむべからず。
 
人が自身を陰で非難したとしても、咎めてはいけない。よく省み考えれば自身にも僅かな過ちがあるものだ。人の非難が行き過ぎたものだとしても、身から出た錆なので、恨んではいけない。自身の過ちを責めるべきである。これが非難を止める方法である。そうもしないで、ただ人を責め恨み、自身を省みることがなければ人の非難がやむことはない。

大和俗訓-応接ー/貝原益軒