性をかざる事を知る事なし

いにしへ張華が女子の箴(せん)とて女のいましめになれる文を作りしにも、人みな其かたちをかざる事をしりて其性をかざる事をしる事なしといえり。性(さが)をかざるとはむ(生)まれつきのあしきをあらためてよくせよとなり、かざるとはいつはりかざるにはあらず。

むかし張華の『女子箴(じょしせん)』という女子を戒める書には「人はみな形を飾る事を知って、性を飾ることを知らず」と書かれている。性を飾るとは生まれ持った悪いところよく改めることであり、いつわりで覆い隠すことではない。

和俗童子訓-巻之五・教女子法ー/貝原益軒

 
張華は西晋の政治家で、自身が身近にあった恵帝の皇后・賈南風(かなんぷう)の専横に悩まされたことが『女子箴』を記すきっかけになったようです。