子路(しろ)、宿る石門に於いて、晨門(しんもん)の曰わく、奚(いずれ)れよりぞ。子路が曰わく、孔氏よりぞ。曰わく、是れ其の不可なる事を知りて而(しか)もこれを為す者か。
子路が泊まろうとして町の門に至ると、町の門番が「いずれから来られた?」と聞いた。子路が「孔子の元より参った」と答えると、門番は「それは難しい事と分かっていながら、やられている方ですな」と言った。
孔子/論語
子路 ・・・ 孔子の弟子、武勇の人
石門 ・・・ 魯の町にあった門
晨門 ・・・ 門番
門番は孔子が難しい理想を唱え、それを実現しようとしている姿を皮肉ったようです。
『論語』にこの逸話は不要のような気もするのですが、あえて記載した弟子たちの客観的な姿勢、謙虚さに感服せざるを得ません。