人に三愚あり。我をほめ、子をほめ、妻をほむる、皆是愛におぼるるなり
和俗童子訓/貝原益軒
益軒はこの言葉の前置きとして次のように書いています。
「およそ人の悪徳は矜(きょう)なり。矜とはほこるとよむ。高慢の事なり。矜なれば自ら是として、其悪を知らず、過ちを聞きても改めず。故に悪を改めて善に進むこと難(かた)し。たとえ勝れたる才能ありとも、高慢にして、わが才にほこり、人を侮(あなど)らば、是(これ)凶悪の人というべし。凡(およそ)小兒(せに)の善行があると、才能あるをほむべからず。ほむれば高慢になりて、心術をそこない、我が愚なるも不徳なるをも知らず。我に智ありと思ひ、我が才智にても事足りぬと思ひ、学問を好まず、人の教えを求めず・・・」
このように、子どもを褒める行動は良いことではないと断じています。「子は褒めて育てろ」という言葉もあるように、まったく褒めないのもどんなものかと感じますが、子どもの性質を見極めず、手放しで褒めちぎる行動は注意しなければならないのかもしれません。