漱石が子規からもらった漱石

漱石枕流
石に口を漱(すす)ぎ、流れを枕にす。

晋書

 
晋の孫楚(そんそ・晋の政治家)は天才肌ではあったのですが、諸刃の刃で自信家で負けず嫌いな面もありました。あるとき隠遁生活が理想の生き方と考える孫楚は、親友の王済(おうさい・同じく晋の政治家)にその事を語りますが、「石を枕とし、流れで口を漱(すす)ぐ」と言うところを誤って「石で口を漱ぎ、流れを枕とす」伝えます。王済が「そんな事ができるのか?」と指摘すると、孫楚は「流れで耳を洗い、石で歯を磨くという意味だ」と理屈を立て自分の間違えを認めませんでした。
この故事より、負け惜しみやこじつけの事を例えて「漱石枕流(そうせきちんりゅう)」と言うようになりました。
 
「漱石」というペンネームは元々、正岡子規のものでしたが、この言葉が気に入った夏目は、子規からこのペンネームを譲り受けています。


『晋書』は「二十四史」(中国歴代史書)のひとつで、司馬氏が皇位に就いた中国・晋代の歴史書。唐代の初期に編纂されています。