道の鍛錬する所
宮本武蔵/五輪書-地の巻-
五輪書・地の巻の「兵法を鍛錬するための九つの心構え」の第二にこの言葉が挙げられています。
武蔵は『五輪書』の中で『道』いう言葉を多数使っています。これは兵法『二天一流』の剣の道とも考えられるのですが、それ以外に老荘思想でいう自然界の道理である『道』も含むと考えられます。『道』は非常に観念的で説明するのが難しい言葉ですが、例えば、『独行道』の「萬づ依怙の心なし(客観的に物事を把握する)」、『五輪書』の「目に見ヘぬ所をさとつて知る事」、『小倉碑文』の「天仰実相(天を仰ぎ真実を見る)」などが、武蔵が示す『道』につながる言葉と想像されます。これらの言葉は仙人的な能力を想像させるのですが、様々な経験を積むことでそれまで見えなかった事や気付かなかった事が理解できるようになるのは一般の人でも普通にある事です。
武蔵はこの様に気付かなかった事に気付けるようになるための経験が大事であると言っているのかもしれません。