五つの道を分ち、一まき一まきにして、其理を知らしめんが為に、地水火風空として五色に書き顕す也。
宮本武蔵/五輪書-地の巻-
武蔵は『地の巻』で次の通り、各巻の意味を簡単に説明していますが、その概要を下に記します。
第一地の巻
兵法の道の概要と自分の流儀の考え方を記す。真実への道へ向かうための基本的な巻であり、地を引き均すような意味合いがあるので、この巻を『地の巻』と名付ける。
第二水の巻
水を手本とし心も水になるのである。水は相手により形を合わせ、一滴になり大海となる。そんな水の特性を借りてこの流儀を書き記す。
第三火の巻
戦いの事を書き記す。火は風に随い、大小となる。そんな火の特性に依って合戦の事を書き顕す。
第四風の巻
他の流儀の事を書き残す。風とは昔の風、今の風、家風、世間の兵法の流儀の事を書き顕す。他の事を知らなければ道理を心得る事は出来ない。我が兵法が他の流儀と異にする事を明らかにするため他流の事を書き顕す。
第五空の巻
道理を会得した上で、道理をはなれ、自由な心境に至り、奇特を成し、真実の道に入る事を書きとどめる。