『新訂海舟座談』で海舟は性善説、性悪説に言及しています。
孟子は、性善といい、荀子は性悪といったが、性善でもなく、性悪でもないようだが、先ず、どッちかと言うと、悪い方が多いようだ。
『性善説』、『性悪説』は高校の授業、倫理社会、漢文、世界史などで出てきたので覚えている人も多いと思いますが、今まで興味がなかった方と共に復習です。
孟子も荀子も紀元前の儒家で、儒教の祖・孔子から約二百年後に活躍しました。孟子の方がひと世代上の様ですが、ふたりとも同時代に生きた人と言われています。
孟子の『性善説』は、人間の性は生まれ持って善であると説き、荀子の『性悪説』は逆に、人間の性は悪であるので、律して善へ向かう努力が必要であると説いています。ふたりは同じ儒家にも関わらず、まったく真逆の説を主張しているのです。
人は生きて行く中で様々な出来事や様々な人に出会いますが、その都度に自身が『性善説』、『性悪説』の間で揺れ動いているのを実感するのかもしれません。海舟は晩年に冒頭の言葉を残して微妙に『性悪説』に振れていますが、これは難しい問題です。