貝原益軒は『大和俗訓-心術上-』で「陰徳」についてに下記の通り書き出しています。
人に患ひを憂ひ、人の喜びを喜び、人を憐み恵むに、鰥寡孤獨(かんかこどく)の便りなき人を先にし、人の飢えたるをすくひ、凍(こご)えたる人に衣を興(あた)へ、疲れたるを助け、病者を救ひ、道橋を修理し、人に害あるを除き、人に利益あることをなし、人の中を和げ、人に善あるを誉め、人の過ちを隠し、人の小過を容(ゆる)し、人の才芸を用ゐ進め、妄(みだり)に人に怒らず、人を恨みず、人の怒り争いを止(と)め、仮にも人を誹(そし)らず、人を侮らず、人を奪はず、人を妨げず、人の善を奨め、人の悪を諫め、禽獣蟲魚(きんじゅうちゅうぎょ)を苦しめず、妄に殺さず、草木を妄に切らざる、皆是(こ)れ陰徳なり。
凡(おおよ)そ、陰徳は人知らざれども天道に叶ふ。
そして最後にこう書いています。
福(さいわい)を求むるに、是にまされる祈祷なし
鰥寡孤獨・・・鰥寡は配偶者を亡くした男性または女性、孤は孤児、獨は身寄りのない老人
禽獣蟲魚・・・鳥、獣、虫、魚。人以外の生き物
人知らざれども天道に叶ふ・・・「人は表面上は気づかないが、自然の摂理として人の心には必ず通じるものなのだ」との意
祈祷・・・ここでは願い事を叶える方法のこと