衛生の道ちありて長生の薬なし

丘処機が、衛生の道ちありて長生の薬なし、といえるは、養生の道はあれど、うまれ付かざるいのちを、長くする薬はなし。只うまれ付きたる天年をたもつ道なり。
(養生の道はあるが、生まれついての命を伸ばす薬はない。天から与えられた命を保つのみである。)

 
益軒は『養生訓』でこのように書き、古くから長生の薬を信じて服用した人は多いが、これはかえって体に良くないと言っています。

 
続けて
 
内欲を節にし、外邪をふせぎ、起居をつつしみ、動静を時にせば、生れ付きたる天年を保つべし。
 
と書いています。
 


丘処機は長春真人という呼び名でも知られる道士で、チンギス・カンに招かれ「不老長寿」について聞かれた際、「衛生の道あり、しかれども長生の薬なし」と答えたと言われています。