実の道を知らざる間は佛法によらず、世法によらずおのれおのれは慥(たし)かなる道と思ひ、よき事と思へ共、心の直道よりして、世の大がねに合せて見る時は、其身其身の心のひいき、其目其目の心のひずみによる、実の道にはそむくもの也。
真実の道を理解できない状態では、仏法、世の中の法にかからわず、己の道は正しく間違いはないと確信し、その道を進むのが良い事だと思い込むものだが、真実の道をも以って、世の大矩(おおがね・直角を出す大工道具)で測り見れば、己のひいきの心や物の見方のひずみが明らかになる。その思いは真実の道に背くものである。
宮本武蔵/五輪書-空の巻-
武蔵の文は、解かり易く心にグッと入って来るものも多いのですが、観念的で精神的で難解なものも多いようです。特に『五輪書-空の巻-』は短い項ではあるのですが、これも結構難解です。上記の通り、取り敢えず自分なりに強引に解釈してみましたが、正解かは不明です。
武蔵は『空の巻』の末に次の通り記しています。
正しく明らかに大きなる所を思いとつて、空を道とし、道を空と見るべき也
う~ん。難解だ!!