沢国(たくこく)の江山 戦図(せんと)に入る
生民 何の計あってか樵蘇(しょうそ)を楽しまん
君に憑(たの)む 話す莫(な)かれ封侯(ほうこう)の事を
一将成りて万骨(ばんこつ)枯る
自然豊かな山間部までが戦場となる
ここに生きる人々は、どうすれば木を伐り草を刈るという日常の生活を送ることができるのか
君にお願いする。どうか戦功による出世話をしないで欲しい
一将の功のために、幾万の民や兵の骨が野ざらしになっていることか
己亥歳/曹松
曹松は唐代末の詩人。『己亥歳(きがいのとし)』は黄巣の乱の戦乱の中で詠った詩のようです。
沢国の江山・・・河川や湖などの多い山間部
戦図に入る・・・戦略地図に記載される。転じて戦場となること
樵蘇・・・木を伐り草を刈ること
封侯・・・領地や役職を与えられること