禍は免るること能わず

数有るの禍(わざわい)は竟(つい)免るること能(あた)わず。
人は禍に見舞われると神に祈ってこれを祓おうとするが、元々、禍福は多数あって決して避けられるものではない。もし、一時的に避ける事ができたとしても天はかならずこれに代えて他の禍を下すのである。だからこそ、心ある者は禍から逃れようとはせずにこれを受け止めるのである。

佐藤一斎/言志録