一杯一杯また一杯

両人対酌すれば山花開く 一杯一杯また一杯

『山中に幽人と対酌す』/李白


 
李白は中国・唐の時代に生きた詩人で、40代前半に玄宗皇帝に仕えます。しかし、街の酒場で呑んだくれていた李白は皇帝の呼び出しに応じなかったり、参内しても皇帝の寵臣・高力士に靴を脱がさせたりと、酔いに任せて傍若無人な振る舞いを行い、それが原因で長安を去ることになります。62歳で病没したようですが、酒に酔って揚子江に映る月に触れようとして船から転落、溺死したと言う伝説も残します。酒を愛し酒に生きた人生だったのかもしれません。
 
李白一斗、詩百篇。長安市上、酒家に眠る。天子呼び来れども船に上(のぼ)らず。自ら称す臣は是れ酒中の仙。
李白は酒を一斗呑む間に百編の詩を創る。長安の繁華街の酒家で大酒し眠り込んだところに、皇帝の使者の迎えが来るが、呼び出しに応じない。自ら「酒中の仙人」と称する。
 


長安に住んだのは3年程のことですが、この頃に玄宗に仕えていた日本人・阿倍仲麻呂とも懇意になったようで、仲麻呂の帰国の途に船が難破し没した情報が伝わると「晁卿衡を哭す」という詩を書いて嘆いています。