パークスは悪い奴じゃない

勝塾の塾頭・杉亨二がパークスの傲慢さを述べると、勝はそれを否定します。
 
「横浜のパークスを訪ねると、こっちは敗北同然だから、軽蔑しての事か、会おうとしない。そこで事情を説明して面会を促すが、それでも出てこない。ソンナラ、会うまで待たせてもらうとねじ込むと、しばらくして食事は出せませんからと言ってくる、メシなどいるものか、飢え死にしても待っている、と言ったらスゴスゴ出てきた。彼はイイ奴だ、悪い奴じゃあない。」
 
海舟は表面上の儀礼よりも結果を重要視する人だったようです。
 


この話は、『新訂海舟座談』に記載される杉亨二の想い出話です。杉亨二は自薦で勝塾の塾頭になった人で、その後、勝の推薦で阿部正弘に仕えています。明治以降は統計学による様々な調査に携わり、「日本近代統計の祖」と呼ばれています。
また教科書でおなじみのハリー・パークスはイギリスから派遣された外交官で、有能な人ではあった様ですが、度々激しい言葉を投げかけ、面会の日本役人を閉口させたという事です。