言志録

『言志録』は佐藤一斎が40代~50代の11年間の間に書かれ、1824年に刊行されています。『言志四録』は全て漢文体で記述され、非常に難解です。そのため、このページでも講談社学術文庫の『言志四録』(川上正光氏)を参考にして書いています。
 

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【「言志録」に関する投稿】

要は須らく志を責むべし 投稿日2023年12月23日
人を教うる者、要は須(すべか)らく其の志を責むべし。聒聒(かつかつ)として口に騰(のぼ)すとも、無益なり。 人に物事を教える者の要はその人の志を教える事が肝要である。口うるさくこまごま言い聞かせても無 [...]

吾れ書を読むに方り 投稿日2023年9月17日
吾(わ)れ書を読むに方(あた)り、一たび古昔聖賢(こせきせいけん)、豪傑の体魄(たいはく)皆死せるを想えば、則ち頭を俯して感愴す。一たび聖賢・豪傑の精神、尚お存するを想えば、則ち眼(まなこ)を開きて憤 [...]

一物を多くすれば・・・ 投稿日2023年9月3日
一物(ぶつ)を多くすれば斯(ここ)に一事を多くし、一事を多くすれば斯に一累を多くす。 物を増やせばやる事が増える。やる事が増えれば煩わしさが増える。 佐藤一斎/言志録   完璧を求めて新し [...]

己に在るものを恃むべし 投稿日2023年7月15日
士は当(まさ)に己に在るものを恃(たの)むべし。動天驚地、極(きわ)めて大事の事業も、亦(また)都(す)べて一己より締造す。 士は己の力を頼りにすべきである。大事業もすべて一人の持つ力と思いから実現す [...]

当に人情を斟酌し 投稿日2023年4月23日
政(まつりごと)を為す者は但(ただ)当(まさ)に人情を斟酌(しんしゃく)し之の操縦を為す。之を禁不禁の間に置き、其れを過甚(かじん)に至らざらしむ。是(これ)も亦(また)時の政然(しかり)りと為す。 [...]

能く人を容れる者にして 投稿日2023年3月24日
能(よ)く人を容(い)るる者にして、而(しか)る後、以て人を責むべし。人も亦(また)其(その)の責を受く。人を容るること能(あた)わざる者は人を責むること能わず。人も亦其の責を受けず。 人を受け入れる [...]

禍は免るること能わず 投稿日2023年3月21日
数有るの禍(わざわい)は竟(つい)免るること能(あた)わず。 人は禍に見舞われると神に祈ってこれを祓おうとするが、元々、禍福は多数あって決して避けられるものではない。もし、一時的に避ける事ができたとし [...]

待てば霽る待たざれば沾濡す 投稿日2022年6月5日
待てば霽(は)る。待たざれば沾濡(てんじゅ)す。 待てば晴れる。待たなければ濡れてしまうことになる。 佐藤一斎/言志録   事が上手く行かない時は待っていれば、じきに好転するものだ。慌てて行 [...]

禍は口より出で 投稿日2021年12月25日
禍自口出病自口入 佐藤一斎/言志録   言語を慎しまざれば、以て禍を招くに足り、飲食を慎しまざれば、以て病を致すに足る。諺に云う、禍は口より出で、病は口より入る。   元々「禍自口 [...]

寧耐は事を成す 投稿日2021年12月25日
急迫は事を破り、寧耐(ねいたい)は事を成す。 佐藤一斎/言志録 苦難に耐え、コツコツと努力を積み上げる事が、成功への近道といったところでしょうか。 [...]

姦悪をなす者その才人に過ぐ 投稿日2021年11月6日
古今姦悪をなす小人、皆才人に過ぐ。商辛(しょうしん)のごときは最も是非常な才子なり。 佐藤一斎/言志録 佐藤一斎はこの様に書き、商辛を例に挙げています。商辛とは「酒池肉林」の故事で有名な殷の紂王の事で [...]

志無きの人は鈍刀の如し 投稿日2021年9月11日
志有るの士は利刃(りじん)の如し。百邪辟易(ひゃくじゃへきえき)す。志無きの人は鈍刀(どんとう)の如し。童蒙(どうもう)も侮翫(ぶかん)す。 佐藤一斎/言志録   切れ過ぎるのもどうかという [...]

是れ多少実際の学問なり 投稿日2021年8月7日
山に登り、川海を渉り、数十百里を走り、時有って露宿して寝ず、時有って饑えれども食わず、寒けれども衣ず、此(こ)は是(こ)れ多少実際の学問なり。   佐藤一斎は『言志録』で実践の重要性をこの様 [...]

一身の得喪は慮るに足らず 投稿日2021年8月4日
当今の毀誉(きよ)は懼(おそ)るるに足らず。後世の毀誉は懼る可(べ)し。一身の得喪(とくそう)は慮(おもんぱか)るに足らず。子孫の得喪は慮る可し 佐藤一斎/言志録   現在の評判よりも後世の [...]

其の長ずる所を説かしむべし 投稿日2021年7月26日
凡(およ)そ人と語るには、須(すべ)らく渠(かれ)をして其の長ずる所を説かしむべし。我に於いて益有り。 佐藤一斎/言志録   人と語り合うには、相手の得意な話をしてもらえば話も弾むし、会話も [...]

愛悪の念頭、最も藻鑑を累わす 投稿日2021年7月23日
愛悪の念頭、最も藻鑑(そうかん)を累(わずら)わす 好き嫌いが念頭にあれば、その人の人間性を判断するのに心を煩わす。 佐藤一斎/言志録 この言葉はもっともな事ではありますが、いつの時代も『愛悪の念頭 [...]

過を改むる者は鮮なし 投稿日2021年7月22日
昨の非を悔ゆる者は之れ有り、今の過(あやまち)を改むる者は鮮(すく)なし 過去の事で後悔する者はいるが、現在の過ちに気付いて改める者は少ない。 佐藤一斎/言志録 若い頃は後悔の繰り返しでしたが、先が [...]

筆画之を掩うこと能わず 投稿日2021年7月13日
心の邪正、気の強弱は、筆画之を掩(おお)うこと能わず。喜怒哀懼(きどあいく)、勤惰静躁(きんだせいそう)に至りても、亦(また)皆諸(これ)を字に形(あら)わす。 心が正しいかそうでないか、気が強いか弱 [...]

賢不肖、人廋す能わず 投稿日2021年7月12日
心の形(あら)わるる所は、尤(もっと)も言と色とに在り。言を察して色を観れば、賢不肖(けんふしょう)、人廋(かく)す能(あた)わず。 人の心が、表に現れるのは言葉と表情である。言葉を察して表情を伺えば [...]

始めて見る時に於いて多くを謬らず 投稿日2021年7月10日
人の賢否は初めて見る時に於て之を相するに、多くを謬(あやま)らず。 人が賢いかそうでないかは、始めて会った時に受けた印象での判断で、ほとんど誤る事はない。 佐藤一斎/言志録   昔は人を見た [...]

懇到切至にして以って之に告ぐ 投稿日2021年7月4日
善を責むるは朋友の道なり。只だ懇到切至(こんとうせつし)にして以って之に告ぐべし。然らずして、徒(いたず)らに口舌に資(と)りて、以て責善の名を博せんとせば、渠(か)れ以て徳とな為さず、卻(かえ)って [...]

人の言は須らく容れて之を択ぶべし 投稿日2021年6月30日
人の言は須(すべか)らく容れて之を択(え)ぶべし。拒(こば)む可(べ)からず。亦惑う可からず 佐藤一斎/言志録   簡単にいえば、人の話はすべて受け入れて話の取捨は自分で判断する事。また、し [...]

理到るの言は人服せざるを得ず 投稿日2021年6月17日
理(ことわり)到るの言は、人服せざるを得ず。 佐藤一斎/言志録   佐藤一斎は道理のある言葉に人は伏さざるを得ないと書いています。 ただ、続けて4つの例外を挙げています。   激す [...]

孟子の三言を師とすべし 投稿日2021年6月16日
読書の法は、当(まさ)に孟子の三言を師とすべし。 読書の方法は、孟子の三つの言葉を師とすべきである 佐藤一斎/言志録   「孟子の三言」とは次の通りです。 〇「意を以て志を逆(さか)う」‥‥ [...]

欲も亦善悪有り 投稿日2021年6月14日
生物必ず欲有り。地(じ)、善悪を兼ぬ。故に欲も亦(また)善悪有り。 佐藤一斎/言志録   生き物には必ず欲がある。人の地(本質)も善悪両方を兼ね備える。故に人の持つ欲にも善の欲と悪の欲の両方 [...]

人に於いては薄く責む 投稿日2021年6月13日
自ら責むること厳なる者は、人を責むることも亦(また)厳なり。人を恕すること寛なる者は、自ら恕することも亦寛なり。皆一偏たるを免れず。君子は則ち躬自ら厚うし、そして、人に於いては薄く責む 佐藤一斎/言志 [...]

己れを喪えば斯に人を喪う 投稿日2021年6月8日
己れを喪(うしな)えば斯(ここ)に人を喪う。人を喪えば斯に物を喪う。 自身を失えば周りの人は去って行く。人が去ってしまえば同時に多くの大切な物を失う事になる。 佐藤一斎/言志録   天狗に [...]

傲は長ず可からず 投稿日2021年6月6日
貝原益軒は五経の一つ『礼記』から「楽しみは極むべからず」という言葉を取り上げていますが、佐藤一斎も同じ文節から「傲は長ず可からず。欲は従(ほしいままに)にす可からず」という言葉を挙げています。 ただ一 [...]

平易なるを要して艱奥なるを要せず。 投稿日2021年6月1日
簡明なるを要して煩悉(はんしつ)なるを要せず。平易なるを要して艱奥(かんおう)なるを要せず。只だ須らく聴者をして大意の分暁(ぶんぎょう)するを得しむれば可なり。 簡単な事が必要で、細かく説明する事は不 [...]

情実を討ね出すを要すべし 投稿日2021年5月31日
一部の歴史は、皆形迹(けいせき)を伝うれども、而(しか)も情実は或は伝わらず。史を読む者は、須(すべか)らく形迹に就きて以て情実を討ね出すを要すべし。 一部の歴史は、みな表面の事が伝わるが、ただ実情は [...]

憤は進学の機関なり 投稿日2021年5月29日
憤の一字は、是れ進学の機関なり。 物事に触れ、感動し、志を立てる事。これが学を進めるため道具である。 佐藤一斎/言志録   目的を達成するためには、志を立てる事が重要あり。その志を立てるには [...]

信を人に取ること難し 投稿日2021年5月25日
信を人に取ること難し。人は口を信ぜずして躬(み)を信じ、躬を信ぜずして心を信ず。是を以て難し。 人から信頼を得るは難しい事である。他人はその人の発言よりも、行動や振る舞いを信じる。そして、行動や振る舞 [...]

免れんと欲するは不可なり 投稿日2021年5月18日
おおよそ、身に降りかかってくる艱難変故、屈辱讒謗、払逆は、みな天がわが才を成長させるために課すもので、砥礪切磋の実践である。志を高く持つ者は、これに対応する方法を熟慮すべきである。なにも考えずにこれら [...]

独立自信を貴ぶ 投稿日2021年5月16日
士は独立自信を貴ぶ。熱に依り、炎に附くの念を起こすべからず。 佐藤一斎/言志録   志の高い人は、自分の考えを持って行動する事を貴ぶものである。勢いのあるものに寄り従うような気を起こしてはい [...]

妄動することを得ざれ 投稿日2021年5月16日
処し難き事に遭わば、妄動することを得ざれ。須らく機の至るを候いて之に応ずべし。 佐藤一斎/言志録   対処が難しい問題が発生した場合、妄りに動いてはいけない。熟慮の上、よく機会を窺って対処す [...]

着眼高ければ 投稿日2021年5月16日
着眼高ければ、則ち理を見て岐せず。 高い目線で物事を望めば、道理がよく見えて迷うことがない。 佐藤一斎/言志録 [...]

立志は本心の好む所に従うのみ 投稿日2021年5月14日
学は立志より要なるは莫(な)し。而(そ)して立志も亦(また)之れを強うるに非らず。只だ本心の好む所に従うのみ。 学問を始めるには志を立てる事が大事である。そして人が強いてはいけない。志を立てるのは本人 [...]

凡そ人を諫めんと欲するには 投稿日2021年5月11日
凡(おおよ)そ人を諫めんと欲するには、唯だ一団の誠意、言に溢るる有るのみ。苟(いやし)くも一忿疾の心を挟まば、諫は決して入らじ。 佐藤一斎/言志録   人を諫めようとする場合は、誠意の心ある [...]