帰師は遏むるなかれ

孫子の「囲師遺闕」(囲んだ敵には逃げ道を残す)は有名な言葉ですが、その次には「帰師勿遏」という言葉が続きます。「帰師(きし)」とは自国に逃げ帰る敵。「遏」は「とどめる」。「勿」は禁止形の「なかれ」で「帰師は遏むるなかれ」と読みます。
戦に敗れた兵は、負け戦とは言え必死で自国に逃げ帰ろうと突き進むので勢いがあります。孫子はこのような勢いのある敵の前には立ちはだかってはいけないと言っているのです。「囲師遺闕」同様に奥の深い言葉です。


「帰師勿遏」は「キシモチアツ」と読むのか「キシブツアツ」と読むのか不明で、語呂もイマイチです。この言葉があまり知られていないのはこれが要因なのかもしれません。